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マーケティング

基本が大事 具体的な行動目標と指示の背景

東洋経済記事

基本が大事なのはわかっているので、それをどうやって徹底させるかだね

『人もチームもすぐ動く ANAの教え方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ベーシックマナーは新人研修のマニュアルで最初に教わる事柄ですから、入社1年目の整備士でも、全員が「知って」います。

しかし、人は易きに流れるもの。誰も見ていなかったり、周りの人もやっていないとわかると、たちまちチーム全体が基本の徹底をやめてしまいます。近くにお手本となる中堅社員がいなければ、なおさらです。整備士の宮崎は、危機感を込めて言います。

「『基本』ができているかは、その会社の根幹にかかわることです。ANAではこれを『安全文化』と呼んで、大切にしています。コーチングチームが若手から煙たがられようとも、口うるさくベーシックマナーを教え込むのは、この文化を守るためです。『組織風土』とよく言いますよね。風土は自然に出来上がるものですが、一方で、ほったらかしにしておけば、どんどん衰退して、悪しき風土になってしまう。だから私たちは、あえて『文化』と呼んで、人間の手でつくり上げよう、と考えているのです」

チームの習慣は、悪いものほど早く、全体に伝染します。あなたの職場でも、たとえば課長が毎回3分会議に遅刻をすれば、そのチームの全員が3分遅刻するようになるでしょう。中堅社員があいさつをしなければ、後輩も「しなくていいんだ」と思います。こうした状況を変えたいなら、最初にすべきことは、「基本」を徹底することなのです。


ところが指導されるのは、整備士なら誰でも知っているような当たり前のことばかり。最初は、なんだそんなことか、もっと難しいことを教えてほしいのに、という意見が大半です」

しかし、毎日毎日「ヘルメットを被れ!」「工具はウエスの上に置け!」と、基本動作の指導ばかりを受けていると、だんだん新人たちの態度が変わってきます。あまりにしつこく、繰り返し同じことを言われるため、「本当に大切なことはこれなんだ」と気づくのです。


風土」を放置すれば目標達成もなおざりになる


一人ひとりの目標は「具体的に」

ANAのCAは、「自分の目標を立てる」習慣を、一便一便のフライトごとに繰り返しています。

、1便ごとに各CAの目標にまで落とします。「日本らしさ」と聞いても、若手は具体的に何をしたらいいのかわかりません。そこで、この方針を具体的な行動に落とし込んだ目標をパーサー(先輩)が考え、後輩一人ひとりに伝えます。

【パーサーから伝えられる目標(一部)】 
 ・ビジネスクラスでは、折り紙をディスプレイしたり、日本酒をおすすめしてみましょう。 


会社からの業務指示や変更などを後輩に伝えるときは、必ず「背景」を補足するようにしていると言います。

「私たちが働く空港は、日々変化の多い職場です。たとえば、ANAでは2015年から羽田空港に、日本で初めて自動手荷物預け機を導入しました。こうした新しい機器が導入されるときにも、単に機器の使い方を説明するのではなく、『なぜ、導入されたか?』『グランドスタッフとして、どういう行動をしてほしいか?』を説明しています。そのほうが、みんなが納得して動いてくれるからです」